第4回ではコンプレッサーの入り口「リリース」を解説しました。
第5回は “どのくらい滑らかに音を圧縮するか” を決める「ニー」にフォーカスします。
DTM初心者の頃、「ニー」の設定で
「どうしたら自然な圧縮になるの?」
「ピークを抑えても、音が不自然になったりパンチが消えてしまう」
そんな悩みを何度も経験しました。
私もMCompressorのような“視覚化できるプラグイン”と出会い、
「どんな音が、どのくらいから」
「どういうカーブで」
圧縮されているのか、リアルタイムに目と耳で“ニー”の違いを体感できるようになりました。
この記事では、
「ニー設定で音はどう変わるのか?」
「自分の音源ではどこまでソフト/ハードにすべきか?」
など、“体験ベース・判断のコツ”までプロ視点で具体的に解説します。
MCompressorをインストール
今回もMeldaProduction社の無料プラグイン「MCompressor」を例に解説します。
視覚化・カーブ調整・初心者〜プロ向きな機能が充実、コンプレッサーの挙動を耳だけでなく“目”でも確認できます。
まずは下記リンクよりインストールしてご準備ください。
MeldaProduction MCompressor

(引用元:Melda Production)
※ほかにも多数の高品質フリープラグインがありますので、この機会にぜひチェックしてみてください。
また、記事内で使用している
・サイン波
・スネアサンプル
・おすすめパラメータ設定
・理解度チェックシート
は、すべてメルマガで受け取れます。
読んで終わりではなく、【読む】【見る】【聴く】【試す】【結果の言語化】を繰り返すと、レベルアップのスピードが格段に上がるので、ぜひ使ってみてください。
メルマガ登録限定特典を受け取る(無料)

ニーの基本を解説
【読む】
ニーは「スレッショルドを超えた時、どのくらい滑らかor急に圧縮を始めるか」を決めるパラメータです。
- ハードニー:スレッショルドを超えるとすぐにガツンと圧縮開始。“階段”のような波形変化。ドラムなどパンチ感や明瞭なピーク感を残したい時に有効。
- ソフトニー:スレッショルド直前から徐々に圧縮を始め、なめらかなカーブで変化します。圧縮の“効き始め”が自然なので、ボーカル・アコースティックな素材に向いています。
「どちらが正解」ではなく、「どんな音に、どこで、どれだけ自然に効かせたいか」がニー選びのポイントです。
ニーの動きを見てみる
【見る】
まずは単純なサイン波を使い、MCompressorのニー設定を動かしてみます。
※注意※
・動画は無音ですが、サイン波は長く聴いていると不快でしかないので、DAWのトラック音量を最小にしてください。
それでは、サイン波を使ってニーの動きを見ていきましょう。
・グレー:原音
・薄赤色:ニーによる圧縮後の信号
・緑:ゲインリダクション(抑え込まれた量)
サイン波動画
(無音につき、苦手な場合は音量最小でOK)
DAW画面上でMCompressorのカーブを表示しながら、ハードニー⇔ソフトニーを切替
原音・圧縮後波形・ゲインリダクションの色分け表示
波形モニターで効き始め・カーブのなだらかさを強調
- ハードニー設定では、スレッショルドを超えた瞬間に波形が急に折れ曲がる
- ソフトニー設定では、なだらかな曲線で圧縮が始まる
- 極端な設定や比率を切り替えて違いを強調
こうして「どこから圧縮が始まり、どこまで自然に効くか」が視覚的にわかります。
では次の章では、実際にスネアのサンプルに差し替えてみましょう。
スネアに差し替えて聴いてみる
【聴く】
今度はスネアのサンプル音源を使って、同じ設定で「ハードニー」「ソフトニー」各パターンを比較してみます。
- ハードニー:瞬間的にピークをバシッと削り、アタック感を活かしつつピークをしっかり抑える響き
- ソフトニー:ピークの直前から徐々に圧縮され、より滑らかで耳障りが自然。全体のまとまりやふくよかさも出る
灰色:原音の音量
薄い赤:ニーで抑えたカーブ
薄い緑:ニーによって抑えられた音量(ゲインリダクション量)
スネア動画
ハードニー時の「ピークの抑え方/パンチ感」→ソフトニー時の「滑らかなまとまり」の違いがよく見える&聴こえる
素材は同じスネアワンショット。設定を同一にしてニーのみ切替
カーブ(視覚化)・音量メーターを同時録画
(動画の解説)
- ハードニー切替時:スネアの打音やピークがシャープで“パツッ”とした質感
- ソフトニー切替時:打音がなめらかになり、だんだんと音量ダウンする変化
ニー設定一つで「アタック感」「まとまり」「圧縮の馴染み方」がこんなに変わるんだ!と耳でも実感できます。
他のスネアサンプルでも試す
【試す】
あなたの持っているスネア素材でも、“同じセッティングでニーだけを切り替える”実験をしてみてください。
「このスネアはハードニーの方がパンチが出るな」
「これはソフトニーの方が全体になじんで聴きやすい」
理解度を確認する
【結果の言語化】
ここまで体験した「ニーによる音の変化」「どんな素材でどちらが良さそうか」などを、「理解度チェックシート」に1行でも良いので自分の言葉で書き出しましょう。
目的は“正解を書くこと”ではなく、あなたの耳と脳が今どこまで理解しているかを整理することです。
記録することで、体験が自分の引き出しになります。伸びしろが残ったままでも問題ありません。
「読む・見る・聴く・試す・言語化」を繰り返しましょう。
この専用チェックシートもメルマガ登録者限定で配布**しています。言語化に困ったときはぜひ活用してください。
理解度チェックシートを受け取る(無料)

次回予告
次回は「メイクアップゲイン」進みます。
Threshold × Knee × Ratio × Attack × Release――これを使いこなせばミックスの自由度が一気に上がるので、引き続きチャレンジしましょう。
「コンプレッサー入口編」第5回(最終回)「メイクアップゲインを極める」では音の芯や勢いが自然に復活させる方法を徹底解説します。
Threshold × Ratio × Attack × Release × Knee × Makeup gain
コメント